連続小説
「GAMER 〜NAS芹沢物語〜」



(NAS芹沢@大阪Palm III

2002.05.04
第1回「ゲーマー"NAS"誕生!」


私の名は「なる」。
といっても、CLIE Parkのなるさんとは違います。
NAS芹沢の本名ですのであしからず。
今日は私の昔話をいたしましょう。


第1回「ゲーマー"NAS"誕生!」


ここは、とある町のゲームセンター。
今日も学校をさぼった中学生がたむろしていた。
そんな時代である。

学生1:やっぱりゲームはおもろいなあ。
学生2:学校行っても面白くないもんなあ。
学生3:なあ、さっきから誰かに見られてないか?
学生1:えっ、誰にだよ?
学生2:もしかして、PTAの見回りか?
学生1:冗談じゃないぜ、早く逃げようぜ。
学生3:いや、いや、違うんだよ。あの柱のかげに隠れてるやつ。

三人はゲームセンターの一角にある柱を見た。
そこには、じっと三人を見つめる子供が柱のかげに隠れるようにして立っていた。

学生2:なんだ、あいつ。
学生3:ずっと俺たちを見てるみたい。
学生1:おい、そんなところにいないで、こっちに来いよ。ゲームがしたいんだろ?
子供:・・・
学生1:名前は何てぇんだ?
子供:・・・・・・なる。
学生1:なあ、なる。ゲームが遊びたいなら遠慮するこたねえよ。俺たちはお前ら小学生までいじめるほど、他の連中みたいにバカじゃあない。

なるは軽くうなずくと、ゆっくり三人に近づいてきた。

学生1:おっ、なかなかやるじゃないか。相当このゲーム練習してるな。
なる:このゲーム、今日はじめて遊んだよ。
学生2:えっ、ほんとか!なる、うまいなあ。
学生3:こいつはすごいや。なるは将来すごいゲーマーになるかもしれないぞ。
学生1:そうだな。素質があるな。

なるは本当にゲームが上手であった。
普段毎日練習しているこの中学生たちよりもうまかったことがそれを証明していた。
それがこの先、彼の人生を大きく変えることになろうとは、まだ本人も気がついてはいなかった。

学生1:おっ、ハイスコアじゃねえか!

2時間ほど遊んだ頃、なるはついにハイスコアをたたき出した。

なる:うわーハイスコア!はじめてだよ!
学生3:すごい!今日初めて遊んだゲームがこのスコア。信じられん。

なるはものすごく喜んでいた。
すると、ゲーム画面はネームエントリに移った。
ハイスコアを記録した者は、勝者の証として名前を刻むことができるのである。

なる:僕、名前なんて入れたことないよ。
学生1:普通にレバーとボタンを使ってアルファベット3文字入れるんだよ。

この時代のネームエントリは、上位5名が入れることができ、入れることができるのはアルファベット3文字まで、が普通であった。

なる:何を入れるかなんて考えてないよ。
学生2:しょうがないやつだなあ。
学生1:なる、ゲーマーとしてネームエントリーができるのは名誉なことだぞ。
なる:名誉?
学生1:そうだ、ゲーマーにとって一番大切なんだ。
なる:わかったよ。
学生1:決めてないんなら仕方ない。とりあえず、「なる」なんだから「NAR」にでもしたらどうだ?
学生2:おお、そうだな、このへんでは誰も「NAR」はいないから、すぐなるのスコアだってわかるしな。

おっと、言い忘れていたが、ゲームセンターでのネームエントリーには時間制限があるのが常である。
ネームエントリーだけに時間を長々と取られていては、次の人にゲームを遊んでもらえない。
遊んでもらえないということはインカム(ゲーム業界用語:ゲーム機にお金を入れてもらうこと、つまり直接収入のこと)が減ってしまうことになるのだ。
だからゲームセンターのネームエントリーには時間制限があった。

学生3:早くしないと時間切れになっちまうぞ、なる!

ネームエントリの残り時間はあと10秒しかなかった。

学生1:なる、急げ!

なるは必死でレバーを動かした。
右に倒しまくり、「N」までたどり着く。
つぎに左に倒しまくり、「A」に戻る。

学生2:なる、早く!

なるは初めてのネームエントリーで我を忘れていた。
そして・・・

学生1:時間切れだ〜!
学生3:おしかったな、なる。

ネームエントリーは時間切れになっていた。
入力された名前は「NAS」。
最後の最後で手元が狂ってしまった。
「R」を入力しようとしたが間に合わず、「R」の隣の文字、「S」になってしまったのだ。

なる:最後に失敗しちゃった。

がっくりと肩を落とすなるであった。
しかし、意外なことを言い出した者がいた。

学生2:なる、これなかなかいいんじゃないの。
なる:
学生2:「NAS」、この名前をなるのエントリーネームにしたらどうかってことさ。
学生1:おお、そいつは面白い。なる、ゲーマーとしての名前は何も本名じゃなくてもいいのさ。
学生3:あえて本名とは違う名前にするやつもいるしね。
学生1:じゃあ、今日からお前は「NAS」だ。どうだ、なる?
なる:うん、今日から僕は「NAS」になるよ。
学生1:よっしゃ、NAS。あんまりおこづかいないだろう。今日は俺たちがおごるから、思う存分遊びな。
学生2:「NAS」誕生祝いやで!
なる:うんっ。

なる、・・・いや、NASに笑顔が戻った。

なにはともあれ、ここにまた一人、ゲーマーが誕生したのである。

その名は「NAS」。


つづく

 



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