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2004.2.21
連続小説
「GAMER 〜NAS芹沢物語〜」

(NAS芹沢@大阪PalmIII)


私の名は「なる」。
あ、いや、現在の名は「NAS芹沢」(なす・せりざわ)。
それは、私がゲーマーだった頃。
遠い昔のお話・・・。


第7回「死闘!? あかね VS なる」


なるはごくりと息を飲んだ。
なぜ戦わなければならないか、そんな疑問はすでに頭の中になかった。
「戦う」という、元来人間に備わった機能が自然に動いている、そんな感じだった。

あかね:準備はいい?

あかねは今までで一番真剣な顔をしている。
なるにも気合が伝わってきた。

なる:もちろん。いつでも。
あかね:いくわよ。

二人は合図を何もしていないのに、二台の筐体でお互いほぼ同時にゲームを開始した。

なる:とにかく勝つ。勝つしかない。
あかね:負けないわよっ。

なるは必死だった。
あかねは可愛らしい女の子だった。
ショートカットが似合っている、活発そうな女の子。
身長こそ、それほど高くはないなると同じくらいだが、中学生にしてはバストもヒップも大きく見えて、非常に大人っぽいプロポーション。
しかし、ゲームの腕はまったくわからない。
「GAMER」というお店の名前からして、ものすごく強いのではないか?
可愛らしさに騙されてはいけないかもしれない。
とにかく全力で立ち向かおうとなるは考えていた。

なる:よし、OK!

なるは順調に面をクリアしていく。
しかし、そのときであった。
なるは自分の背後に、ただならぬ殺気、というか、視線を感じていた。
おかしい、ここにはあかねと自分の二人だけなのに。

なる:・・・・・・。

なるは、自分の背後がものすごく気になった。
でも、今は対戦中だ。
集中しなければ。
しかし、どうしても後ろが気になる。
なるは隣のあかねをちらっと見た。
そして驚いた。

なる:ありゃ!?

なるの視線の先には、あかねはいなかった。
誰も座っていない筐体があるのみ、である。
どうなっているんだ!?
ついになるは、後ろを振り返った。
そこには、なるのプレイを真剣に見つめるあかねの姿があった。

なる:うわっ、なんで後ろにいるの?
あかね:なる、あなた、うまいわね。

あかねはそう言って、微笑んでいる。
なるは、あかねが遊んでいたはずの筐体を見てみた。

なる:えっ!

あかねが遊んでいた筐体は、すでにゲームオーバーになっていた。
しかも、スコアは1200点だった。

なる:これってもしかして・・・。
あかね:負けたわ。あなたには。

「負けたわ」ではない。
なるはすでに15万点を超えていた。
1200点という得点から推測するに、あかねは開始わずか1分もたたないうちにゲームオーバーになっていたのである。

なる:これって、どういうこと?

あかねはずっと笑顔でなるを見つめているだけであった。

??:君の勝ちということだよ、なる君。

不意に店のドアが開いて、男の声がした。

なる:あなたは?
あかね:あっ、お父さん!
なる:えっ、お父さん?

そこには、男が立っていた。
身長は170センチくらいで細身、メガネをかけていてあごひげをたくわえている。
そして水色のエプロンをしていた。
絵柄があかねのエプロンと同じだ。
歳は40歳くらいに見えた。

??:私はあかねの父、水咲幸治(みずさき・こうじ)。
なる:は、はあ。

なるは驚いた。
突然現れたその男は、あかねの父だと言う。
あかねは恥ずかしそうに黙っていた。

あかねの父:なる君、あかねと真剣に戦ってくれてありがとう。

なるは、あかねの父に全てを聞くことができた。

あかねはゲームが超苦手で、どんなゲームでもすぐにゲームオーバーになってしまうという。
そして、どんなに練習しても全く上達しないというのである。
いまどき、そんな子は珍しい。

なる:では、なぜ対戦を?
あかねの父:笑わないで聞いてやってくれ。あかねは、自分よりゲームが下手な人を探すために、対戦をしているのだよ。

あかねは、さらに恥ずかしそうな顔でなるを見つめていた。
驚愕の事実に、なるは思わず体全体の力が抜けていった。
なんじゃそりゃ。

なるはあかねに、黒崎のおっちゃんと対戦したかを聞いた。
確かに黒崎のおっちゃんはここにいたらしい。
なるは、答えがわかっているので、あえて黒崎との対戦結果は聞かなかった。

あかね:なる、私、あなたが気に入ったわ。

そう言うと、あかねはなるに飛びついてこう言った。

あかね:私、なるのパートナーになるわ!
なる:えっ、ちょ、ちょっと待って、まっ・・・。
あかね:私、ゲームがうまい人が、強い人が好きなの!
なる:パートナーって何だよ、ちょっと、おい!

あかねはうれしそうに、両手でなるにしがみついている。
なるは自分の背中にあかねの胸の感触を感じながら、わけのわからない急展開にどうしたらいいのか全くわからなかった。

これが、後に各地のゲーセンに数々の嵐を巻き起こし伝説となった、最強コンビの始まりである。

つづく


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